テレビや街中で見かける手話。
いざ勉強しようとすると、どうやって勉強をしたらいいかわからない方が多いと思います。
手話ってどうやって勉強すればいいの?
せっかく身につけるなら、将来に活かしたいな。
そんな疑問を持った方に向けて、手話通訳士として仕事をしていた私が、手話の勉強の始め方と働き方をまとめました。
- 手話の勉強をしたい
- 手話を活かして仕事がしたい
- 誰かの役に立ちたい
1.手話には種類がある
手話を勉強するうえで必要な前提知識として、簡単に説明します。
日本手話
日本手話(にほんしゅわ)、JSL(英: Japanese sign language)とは、手話言語の1つである。伝統的手話・ろう者的手話[1]。慣習的手話ともいわれる[2]。日本において、ろう者の両親を持つろう者や、幼児期にろう学校に就学したろう者の第一言語である[3][4]。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本語対応手話
日本語対応手話は、日本語を声に出して(または声を出さずに日本語の通りに口を動かして)しゃべりながら、しゃべっている日本語に合わせてその一部を手話の単語に置き換えていくものである[1]。
日本手話の単語を借りて日本語の言語構造に合わせて表現するものであり、手指日本語と呼ばれ、日本語の一種と考えられている[2][3]。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2.どこで勉強できるの?
手話サークル
若者が多い大学の手話サークルや、社会人や他の障害者がいるサークル、聴覚障害者がいないサークルなど、同じ手話サークルでも様々です。
雰囲気など自分に合っているか、一度見学に行くことをお勧めします。
手話奉仕員養成講座
手話ができる人を増やすために、厚生労働省が作った手話奉仕員及び手話通訳者養成事業のカリキュラムを受けられる講座です。
期間は自治体にもよりますが、入門課程、基礎課程があり、半年から1年間、週に1回2時間程度です。手話奉仕員養成講座を修了すると、手話奉仕員として市町村に登録されます。
私の受けた自治体では、修了証書がもらえました!
大学や福祉系の専門学校
手話サークルだけでなく、福祉系の学科がある学校であれば、手話を勉強できる学校もあります。
学校で福祉系の資格を取得し、プラスαで手話ができると、仕事の幅もひろがりますね。
手話通訳者を目指すなら
- 手話通訳者養成講座を受ける
- 専門学校で学ぶ
手話通訳者養成講座には、基礎課程、応用課程、実践課程があります。週1回2時間程度で、最低でも5年程度は必要です。地域の聴覚障害者や通訳者と交流しながら勉強できます。
専門学校は、国立障害者リハビリテーションセンター学院 手話通訳学科で、期間は2年間です。入学試験は必要ですが、2年間集中して勉強できます。
以前は他にも専門学校があったのですが、なくなってしまい残念。
手話話者の友人知人から教えてもらう
外国語と同じで、普段から使っている言葉をそのまま学ぶことができます。
また、聴覚障害者ならではの生活や文化など、手話以外のこともわかるかもしれません。
電車の中とホームなど、窓越しに会話できると便利ですよ。
知り合いが居ないから困っているんだよ!と思ったあなたへ
聴覚障害者が集まるお店や、定期的に開催される飲み会があります。
SNSなどでも情報発信しているので、調べてみてください。
勇気を出して足を運んでみてはいかがでしょうか。
学ぶならネイティブから!
3.手話の本ってどうなの?
本だけで手話をマスターすることはできません!
手話は言語です。外国語を学ぶのと同じです。コミュニケーションを目的とした勉強をするのであれば、本だけで手話をマスターすることはできません。
また、本の絵や写真だけでは手の動きや表情、位置などの把握が難しいため、勉強には限界があります。
4.手話の検定・資格
手話の検定や資格は多くありませんが、自分のレベルや目標に合ったものを選びましょう。
手話奉仕員も手話の資格のひとつです。
手話ができることを証明する、力を試す 検定
手話の検定は主に2つです。
どちらの検定も、手話を学習した人が、どのくらいコミュニケーションをとることができるか知るための試験です。
聴覚障害者やほかの障害があっても配慮を受けながら受験できます。
全国手話検定試験
- 全国の都道府県にある試験会場にて年に1回(秋)
- インターネット試験もあり、年に1回実施。
- 検定級:5級、4級、3級、2級、準1級、1級。
- 主催:社会福祉法人 全国手話研修センター
手話技能検定試験
- 検定級:7級、6級、5級、4級、3級、2級、1級。
- 3~6級はWeb試験と、全国6会場で年2回、実施
- 7級は在宅試験。1・2級はオンライン試験で年2回。
- 主催:NPO手話技能検定協会
手話通訳の仕事を目指す 資格試験
手話通訳の資格は主に2つ。どちらも国家資格ではありません。
合格するには、日本手話と日本語対応手話の習得だけでなく、通訳、翻訳、ろう文化、障害者福祉の知識、通訳者としての心構え等、専門的な知識が必要です。
また、独占資格ではないため、一部を除いて資格がなくても手話通訳を行うことはできます。
手話通訳者全国統一試験(手話通訳者)
- 資格の種類:民間資格
- 試験時期:年1回12月
- 受験対象者:手話通訳者養成課程修了者。または、手話通訳者養成課程修了者と同等の知識及び技術を有する者
- 主催:社会福祉法人全国手話研修センター
手話通訳技能認定試験(手話通訳士)
- 資格の種類:厚生労働大臣が認定する公的資格
- 試験時期:年1回10月※新型コロナウイルス感染防止のため、令和4年度は学科試験を7月に、実技試験を10月に分離して実施
- 受験対象者:20歳(受験日の属する年度末までに20歳に達する者を含む)以上の者。
- 主催:社会福祉法人聴力障害者情報文化センター
5.手話を活かせる仕事
地域の登録手話通訳・フリーランスの手話通訳
自治体や手話通訳派遣センターなどに登録をして活動する人が大半です。
直接手話通訳の依頼を受けるフリーランスだけでの活動はごく稀ですが、学会での発表を担当できるような専門性の高い手話通訳ができる人もいるんです。
本当に尊敬します!
市区町村役場・福祉施設
主に障害関係の部署で聴覚障害者の対応を担当します。
また、手話通訳者を派遣するためのコーディネート業務や、他の障害者福祉に関する仕事を担当することが多いです。
一般企業・特例子会社
社内での手話通訳を担当します。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格があれば、相談員を兼務することもあります。
障害者の雇用を促進し安定を図るために、親会社によって設立された子会社のこと。
遠隔コミュニケーション
主に電話リレーサービス(聴覚や発話に困難のある人との会話を通訳オペレータにより、即時双方向につながることができるサービス)でしたが、それに加えて新型コロナウイルスの影響でリモートでの手話通訳の需要も高まっています。
手話通訳もリモートでできるんだね!
お店の受付、接客
外国へ旅行に行ったとき、店員さんから日本語で話しかけられたら、うれしい気持ちになりますよね。
筆談やスマホでコミュニケーションが取れるかもしれませんが、少しでも知っている手話単語があれば、積極的に伝えてみましょう。
接客で使える手話は、YouTubeなどの動画サイトでたくさん紹介されています。
同じ職場や部署で共に働く
職場に手話が必要な方がいる場合もあります。
手話以外にもコミュニケーションをとる方法はありますが、同じ職場に、手話でコミュニケーションがとれる相手が多ければ、すこしでも安心して働くことができると思います。
手話を教えてもらうのもいいかもしれないね
6.まとめ
手話を学ぶといっても、目標は人それぞれですね。
正直、手話でスムーズに話せるようになるのは簡単なことではありません。
でも、外国語と同じで、身につければ今より話せる人が増えるなんて素敵なことですよね。
なにより、手話が必要な方とコミュニケーションを取りたいと思う気持ちが大切です。
あなたも手話を学んで、コミュニケーションを楽しんでください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。